「悼む人」天童荒太 [読書]
「悼む人は直木賞をとった天童荒太の作品です。
これまで、惨殺のシーンが印象的な「家族狩り」だとか
孤児だった三人の友情とその過去がせつない「永遠の仔」だとか幾つか読んでいますが、
この本は赴きが違います。
今回は亡くなった人を悼んで日本中を歩く主人公と
主人公の帰りを待つ末期がんの母親、そして心がすさんだ雑誌記者の
三人の視点から書かれています。
「誰に愛され、誰を愛し、誰に感謝されましたか」と、
人々に亡くなった人のことを聞いて歩き、
悼んでいく主人公。
際限のない、旅に出て世間から全く隔離された様な生活を
歩んでいますが、最後にわずかな光も見えます。
そして、容赦なく襲いかかる各登場人物への人生の悲哀が
なんともいたたまれなくなります。
現実の世界とオーバーラップして、知らず知らずに小説に引き込まれてしまいます。
死んだら何も残らないのではなくて、
「悼む人」が悼んでくれ、心の中に覚えていてくれるということが、
安心して死に向かい合う事ができる、
また、犯罪者であっても悼んでくれる…
これらのことへの疑問はストーリー中でも悩みが見られ、
自分の中では必ずしも納得できるものではありませんでしたが、
多く語られる死について、深く考えることとなりました。
楽しく読めるものではありませんが、
死と対比することで、生に対して真っ正面から肯定できるような気がします。
ただ、主人公がしきりと話しかける
「誰に愛され、誰を愛し、誰に感謝されましたか」
という言葉が妙に最後まで心に響いてくる小説でした。
これまで、惨殺のシーンが印象的な「家族狩り」だとか
孤児だった三人の友情とその過去がせつない「永遠の仔」だとか幾つか読んでいますが、
この本は赴きが違います。
今回は亡くなった人を悼んで日本中を歩く主人公と
主人公の帰りを待つ末期がんの母親、そして心がすさんだ雑誌記者の
三人の視点から書かれています。
「誰に愛され、誰を愛し、誰に感謝されましたか」と、
人々に亡くなった人のことを聞いて歩き、
悼んでいく主人公。
際限のない、旅に出て世間から全く隔離された様な生活を
歩んでいますが、最後にわずかな光も見えます。
そして、容赦なく襲いかかる各登場人物への人生の悲哀が
なんともいたたまれなくなります。
現実の世界とオーバーラップして、知らず知らずに小説に引き込まれてしまいます。
死んだら何も残らないのではなくて、
「悼む人」が悼んでくれ、心の中に覚えていてくれるということが、
安心して死に向かい合う事ができる、
また、犯罪者であっても悼んでくれる…
これらのことへの疑問はストーリー中でも悩みが見られ、
自分の中では必ずしも納得できるものではありませんでしたが、
多く語られる死について、深く考えることとなりました。
楽しく読めるものではありませんが、
死と対比することで、生に対して真っ正面から肯定できるような気がします。
ただ、主人公がしきりと話しかける
「誰に愛され、誰を愛し、誰に感謝されましたか」
という言葉が妙に最後まで心に響いてくる小説でした。