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「漆の実のみのる頃」〜藤沢周平 [読書]


漆の実のみのる国〈上〉 (文春文庫)

漆の実のみのる国〈上〉 (文春文庫)

  • 作者: 藤沢 周平
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2000/02
  • メディア: 文庫


藤沢周平の遺作となった、米沢藩の立て直しをした上杉鷹山(治憲の人生を描いた
漆の実のみのる頃」を読みました。
童門冬二の「小説上杉鷹山」が鷹山の人柄をよく伝えているのに対して
より史実を丹念に追ったその場の状況が目の前に浮かんでくるような小説でした。
彼の貧乏神に取り付かれたような米沢藩の財政との戦いには、
無性に辛くなり、心に重しがずんと響いてくる思いがしました。
上杉謙信を先祖にもつ上杉家は米沢は関ヶ原の戦い以後に、
会津120万石から家臣もそのままに米沢30万石に封地転換させられ、
それ以後も世継ぎ問題で半分の15万石に減石させられたのです。
そこから米沢藩の貧乏が始まったのです。
ちなみに「天地人」の直江兼続はこの米沢を所轄としており、
家臣を減らすことなく養って行く初期の米沢藩の改革をした人物として記憶されております。
今の国や地方財政や大企業の経営にも人員を削減するだけのリストラだけではなく
豊かな財政を目指す真剣な改革が必要なのではないでしょうか(ーへー)

藩の改革を引っ張ってきた竹俣当綱が徐々に権力に慣れて来て、
というよりか、果てのない建て治らない米沢藩の財政に疲れて来たと擁護していましたが、
彼が弾劾をされるのはいたたまれない気になりました。
権力は腐敗するのです。。。

鷹山が1785年に書いた「伝国の辞」3ヶ条は政治家にとって心打たれるものがあります。
一 国家は、先祖より子孫へ伝候国家にして我私すべきものには之無き
一 人民は、国家に属したる人民にして、我私すべきものには之無き
一 国家人民の為に立てたる君にて、君の為に立てたる国家人民には之無き

これがアメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンが、
ゲティスバークで「人民の人民による人民のための政治」と演説したときより
100年も早く書かれたことを考えると、鷹山の偉大さが分かるのでは!!
ケネディ大統領やクリントン大統領が最も尊敬する日本人政治家と言っている
意味が良く分かります。
私も改めて上杉鷹山が最も尊敬する日本人政治家になりました(^▽^)

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